死神の嘲笑
× × ×


勉強さえできれば良い、と栗原臨は思ってきた。


中学校から進学塾に通い、その地域でトップクラスの私立進学校に入学。

積極的に教師に分からない箇所を尋ねる姿を目にした同級生達は、彼のことを『ガリ勉』と疎んじた。

あらゆる私情を殺し、勉強にだけ集中する。

『勉強さえできれば、人生何とかなるのよ』と母から耳にタコができる程言い聞かされていたからだ。

実際、地方公務員である父のお陰で、授業料が高い私立の高校に入学できたのだ。


気付くと、彼には菊野という同級生としか碌に口を利かなくなっていた。

近付きにくいオーラを放つ臨に、菊野は気さくに声を掛けてくれた。

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