死神の嘲笑
「俺なんか失敗ばっかの人生だよ。『挫折』と書いて『じんせい』と読むぐらい……」


以後、菊野の言葉は殆ど耳に残らない。


「まあ、ぼちぼち頑張れよ、栗原。嫌になったらいっそのこと、死んじゃえば? なーんてな」


僕は十分頑張ってるつもりだけれども、これでも足りないのか。

喉元まで上がってきた言葉を、飲み込んだ。


唯一の『味方』を失った気がした。


勉強さえできれば良いはずはなかったのだ。

『味方』の喪失だけで、崩れそうな弱い自分がいる。

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