死神の嘲笑
時刻は夜といえども、ドーム施設内は昼間と変化がない。

照明がついているため、明るさは同じなのだ。

ただ一点、人っ子一人いなくなるという状況は異なる。


死神に気に入られ、この地に連れて来られた人々も夜には眠るのだろうか。


主を失ったまま、ぽつねんと佇む空中ブランコや綱渡り用の綱。

寂しげにこちらを見ているような気がして、思わず朱理は目を逸らした。


一日目には足を伸ばすことができなかった場所まで、行ってみたい。

奥へ、奥へと朱理は進んでいった。

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