死神の嘲笑
「おかしいですね。それでは、私が彼女を捜しに行きましょう。その間、皆さんはお話でもなさっていてください。初対面ですしね」

一旦その場を離れようとした男だが、こう付け加えた。

「ちなみに、どう足掻いてもここから逃げられませんので、ご理解の程宜しくお願いします。ところで、どれぐらい時間が掛かるかは現在の所、判断ができませんが」

言い残すと、タキシード男は足早に立ち去ってしまった。



「あの人、誰なんですか?」

梓がもう一人の男――臨に答えを求める。

「死神、と言っていました」

「「死神?」」

綺麗に、梓と友弥の声が重なる。

「はい。見た目からは予測できないかもしれませんが、僕は彼の言葉は正しいと思います」

毅然として臨は言った。

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