死神の嘲笑
その頃、死神は行方不明となった朱理を捜していた。


人が隠れられそうな場所――洞窟のような場所や、大きな穴が掘られた場所――を見て回ったが、彼女の姿はなかった。


視界に入ってくるもの。

それぞれ必死に、自分のやり遂げるべきことに励む人々。

無表情に横たわるマンホール。

誰かが作った、肌まで人間そっくりの少女の人形。


そして――。

コンクリートブロック付近で、うずくまる人物。

「末光さん」

外見とは対照的な力強い走りで、死神は朱理の元へ向かった。

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