死神の嘲笑
「あなた方はよく分からない課題を押し付けられたにも関わらず、一生懸命に箱を捜してくれています……」

長い爪を触る死神。

「そんなあなた方に比べ、私は愚かです。他人ばかりを利用して、自分の怖さから逃れようとしているんですから」

「ということは『サーカス発表会』は中止になったんですよね?」

健太の玉乗り姿を想像したのか、表情が曇っていた梓が尋ねる。

「ええ。私は、自分で自分の運命を受け入れることにしました」

小さく息を吐き出す死神。

安心したような梓に、言葉を投げた。

「ですが、三留さん。申し上げにくいことがあります」

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