死神の嘲笑
ベッドに身を沈め、顔を伏せる。


『矢口健太さんは人間版『無』の世界へ……』


死神の言葉が蘇る。

理不尽だと思うものの、自分は無力だ。


次第に、顔の部分が冷たくなっている気がした。

――濡れている。


右手で、瞳から流れる透明な液体を拭った。

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