死神の嘲笑
「大丈夫ですか?」

死神は朱理を抱きかかえた。

皮膚の内側は綿でできているのかと思ってしまう程、軽い。

「く、すりを……」

悪夢にうなされているかのような口調だ。

「分かりましたよ」

再度死神が空中に手をかざすと、錠剤とコップに入った水が現れた。

「い、つも飲んでる薬だ……」

弱々しく思ったことを形にすると、朱理は錠剤と水を口に含んだ。


「さあ、これに乗って皆が待つ場所へ行きましょう」

いつの間にか登場した車椅子を示す、死神。

彼の瞳には、凛とした色が灯っていた。

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