死神の嘲笑
「この人形は無害ですから、触ってみてください」

そっと、頬に触れる。

「凄い。人間の肌そのものじゃないですか」

「ええ。これも『サーカス発表会』で操り人形として用いられる予定でした……」

愛娘の寝顔を撫でる父親みたいに、人形から手を離さない死神。

「ですが、これを作った人々は、飽きてしまって放置されたままなんです」

「そうですか」

「さて、満足してもらえましたか?」

死神が、立ち上がる。

「はい。ありがとうございました」

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