死神の嘲笑
「どうかしました?」

無意識のうちにその瞳に魅せられていた朱理は、ハッとした。

「いいえ。すみません」

「構いませんよ。それでは、ゆっくり押しますからね」



車椅子に乗せられたまま、朱理は独白するかのように言葉を紡ぐ。

「私は頭痛や目眩、立ちくらみに不眠症……といった症状を抱えていて、薬が手放せないんです。ですから、死にたくてたまりませんでした」

「そのようですね。あなたが現世にいる頃に調査していました」

「それで、私がいつも服用している薬を出してくださったんですね」

朱理は、遠方を見据えた。

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