死神の嘲笑
× × ×


高校三年の始業式を終えた小田嶋友弥は、学校近くのベンチに腰を下ろしていた。

友達と呼べる存在は何人かいたが、皆自転車通学で、電車通学の友弥は一人で帰ることになっていたのだ。


公園で花開く、桃色の桜。

桃色の雨が、友弥の顔にも降ってくる。

だが、そこには冷たさは微塵も存在せず、むしろ温かさで満ちていた。

こうしているのが、好きだった。


そんな時だ、友弥が呼び掛けられたのは。

「ねえ、そこのお兄ちゃん」

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