死神の嘲笑
「ええ、まあ」

「死神であるあなたにとって、何もない場所からものを取り出す能力は当たり前のようになっているんでしょうね」

「はい。つまらないことですが」

そこで、朱理は振り向き、死神に向かって微笑んだ。

「いいえ。私はあなたのお陰で助かりました。私にとっては素晴らしい能力です。まあ、この地に来ていなければ、ちゃんと薬を常備していたんですが、ね」

「そこは見逃してくださいよ。真相はもうすぐに語りますんで」

朱理にとって初めて目にする、死神の穏やかな笑みだった。


気が付けば、残りの三人がいる場所まで近付いていた。

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