死神の嘲笑
『一』から順に、蓋の隙間に長い爪を差し込んで箱を開けていく死神。

この時、朱理には死神が爪を伸ばしている理由が、やっと分かった。


最後に『四』の箱を開けた時、死神の爪がぽきん、と折れて弾け飛んだ。

まるで美しい放物線を描く、ホームランボールのようだった。


「これが私が愛した死神――死神ナンバー八十八の遺骨の一部です」

四つの箱にそれぞれ、白い欠片が入っている。

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