死神の嘲笑
「落ち着いてください。死に切れなかったのは、一人だったから、というわけではありませんか?」

「どういうことですか?」

「では伺いますが、末光さん。あなたは一人で自殺をするのと、誰かと自殺をするのではどちらが楽だと思いますか?」

足元に視線を落としながら、朱理は思考を巡らせる。


「誰かと、だと思います。同じような目的の人がいてくれれば、精神的に心強いような気がするんです」

「私も同感ですよ。だから、私は考えたわけです。自殺未遂を同じ日に図った四人。そして、一週間で与えられたものを捜すことにより、絆を深める。すると――」

四人に視線を送り、ニヤリと死神は笑った。

「もう四人で死ぬ恐ろしさは薄れているのではないか、と」

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