死神の嘲笑
「栗原さんは何センチ?」

ふと、朱理が尋ねる。

「百八十三。末光さんは? あ、俺のことも下の名前で読んでもいいから。というより、苗字で呼ばれることが殆どだから、実は悲しいんだよね」

「大きいなあ。じゃあ、臨さんって呼ばせて。私のことも下の名前でいいから。私は百六十九。私も女にしては高いほうだけど。何かスポーツの経験は?」

「中・高と野球をしていたんだ。朱理ちゃんは?」

奇妙だった。

あれ程苦手だった会話のキャッチボールが、自然と身に付いている。

『普通』になれたようで、朱理は嬉しかった。

「スポーツはさっぱり。バスケやバレーボール部に誘われたことはあったけど、結局中・高共に帰宅部」

そこへ、梓が近付いてきた。

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