死神の嘲笑
「朱理ちゃん、君だけはこの地をある程度見たんだよね?」

一人で小さな幸せに浸って朱理は、臨に尋ねられてうろたえた。

「うん。全部見れたわけじゃないけど」

「じゃあ、少し僕達を先導してもらえない?」

急な申し出にまごついてしまう。


現世では一人で碌なことができなかった自分に、生きている価値がないと思っていた自分に、そのようなことはできるのだろうか。


まるで大物芸能人の案内役を頼まれたような気持ちになり、朱理は黙ってしまった。

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