死神の嘲笑
赤が、流れる。


机の上についた、肘へ向かってつつーっと伝っていく。

ぽとん、とフローリングの床に赤い滴が落ちる。

目ぼけ眼の時に見ても、ハッとしてしまいそうな程、鮮やかな赤だ。

それはまるで、自分がこぼすのことのできない、涙の代用品のような気がした。


手首が、悲しい自分の代わりに、泣いてくれている。

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