死神の嘲笑
その日は、部活がなかったのか、学校帰りの健太だった。

無意識のうちに、左手を示す。

「血が出てるぞ。大丈夫か? ……で、これは?」

寝起き時に頭へ冷水をぶっ掛けられたような、衝撃が体内を駆け巡る。

そうだ。忘れていた。左手といえば――。

慌てて隠したが、遅かったようだ。

「これ、リストカットの痕だよな?」

黙って頷くしかなかった。

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