死神の嘲笑
「ありがとう、健太」

「『生きている』軌跡をフォトフレームに納めて、リストバンドで梓だけの『生きている』証拠にして欲しいんだ」

照れくさそうに、健太は口にした。

短髪のため、隠されなかった耳がほんのりと桃色に染まった。

時季が遅い桜を貼り付けているようで、梓にも笑みがこぼれた。

「ねえ、どうしてリストバンドは水色なの?」

「風水で梓の運気アップの色が水色だったんだ」

悪戯を告白する子供のように、もじもじと口を動かす健太。

照れくさそうに、頭を掻いた。

< 78 / 270 >

この作品をシェア

pagetop