死神の嘲笑
「梓、あんたに会いたい人がいるって」

告別式から帰った母が、呼ぶ。

「嫌だ。今は誰とも会いたくない」

「そんなこと言わないで。その方、健太君と同じ大学に行っていた方なんですって」

健太と、同じ大学?

自分が見ていない健太を知っているのだろうか。


思わず、外に飛び出す。


何となく天を仰ぐと、最後のリストバンドにそっくりな色の、澄み渡った青が頭上一帯に広がっていた。

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