死神の嘲笑
思わぬ場所での、予想だにしない再会。

必死に、呼び掛ける。

「思い出してよ、健太。私、あなたのことが……大好きだったんだよ」


「うるさいな。俺は今、このボールに乗ることだけに集中しているんだ。邪魔だ」

南極で生まれたのかと感じてしまう程、冷たい声。



梓は、ゆっくりとカッターナイフの刃を出していく。


邪魔なのは、自分ではないのだ。

もう自分に、新たな傷痕は残さない。

< 89 / 270 >

この作品をシェア

pagetop