束縛+甘い言葉責め=溜息
全部、 夢
ハッと目開けた。
心臓が痛いくらいにドキドキ鳴り、自分が眠っていたことを知る。
全身汗びっしょりになり、息をゆっくり吐かないと、鼓動を抑えることができない。
夢と現実が分からなくなり、枕元に置いてあるスマートフォンを確認した。
大丈夫、夢だ。
真紀は店には出ていない。
腕枕をしていたのに、知らない間に頭が離れていた。
いつの間に逃げたんだと、起きるのが分かっていて、その頭の下に腕を入れ込む。
予想通り、真紀は一瞬眠りから覚める。
「ん……何時?」
真紀は尋ねたが、それには答えず、
「真紀……真紀……」
しっかり、握り締めるように、抱き着く。
「……うーん……痛い……」
それに対して真紀は、腕から少し逃れるように身体を動かす。
「…………。クルーズランチでもしようか」
「えっ!? ほんと!?」
突然真紀は首をひねって後ろを振り返った。船で食事をとったのはもう随分前で、結婚する前のことになる。
「うん……。その次の休みは、映画。その次は……なんでも。真紀さんがしたいこと。
子供を一時保育で一日だけ預けよう。僕が休みの日に。そして、2人で息抜きしよう」
優しく、気持ちが伝わるように、囁く。
「うん……」
真紀もそれにこたえるように、優しく腕を触ってきた。
「ゆっくりするのも家じゃなくてもいい。ホテル……ラブホテルとかどうかな? あんまり行ったことないけど、たまにはそういうのもいいかもしれない」
「あっ、行きたい、行きたい!! 船の次はそれがいい!」
早くも大はしゃぎだ。
「シッ……みんな起きるよ……」
言いながら、首筋をツーっと舐める。
「デートしよう……、特にラブホテルが楽しみだね……」