束縛+甘い言葉責め=溜息
「…………」
吉住はさすがに黙った。
「まあもう、作っちゃったし、今更どうこうできるもんでもないから、ね。
保育園に預けたりして、真紀さんも息抜きしながらすればいいんじゃないかな」
畑山は吉住の顔色を伺った。
「僕はそれが許せないんですよ。
1人で外出されるのが」
思いもよらなかった言葉に、私は目を見開いた。
「何でダメなのよ。自分なんか、いっつも夜いないじゃん。仕事か、休みなのかも分かんないくらいに。それが逆だとどう思う?」
「……浮気してるのかなって思う、僕ならね」
吉住はこちらをじっと見て言った。
「私は思わないよ、信じてるから」
吉住は意外な顔をした。
「外出ても、私疑ったことないじゃん、浮気してたの、なんて。
それは夜の仕事だからとかじゃなくて、絶対しないって信用してるからよ。
じゃなんで逆に私が浮気すると思うの?
何で私そんなに、信用されてないの?」
吉住はただ黙った。
「何の根拠もないのに疑わないでよ。
私が信用されてないようなことしてるみたいじゃん。
ただ買い物行きたいだけなのに、ちょっとランチしたいだけなのに、そんなことも浮気と勘違いされて。
私が一体、どんな風に裏切ると思ってるの?」
吉住はただ目を伏せた。
「ね? もうちょっと信用してあげなよ。
働くことだって、別に悪いことじゃない。
なんなら、修三自身が働くとこ見つけてあげたらいいじゃない」
「私は別に……そりゃ、ケーキ屋さんみたいな綺麗なところで働きたいっていう気持ちはあるけど」
私は間髪入れずに答えた。
「アテがないことはないです。
僕も、ただ拒否し続けてるわけじゃなくて、少し考えてはいました。
お客さんで、病院関係の人がいて。売店のレジのパートを募集してる話を聞いたんです、最近」
「いいじゃない。病院だから平日だけだし。昼間だけだし」
「ですかね……」
吉住は言っておきながら、納得していないようだった。それと同じように私も、新しいケーキ屋と病院の売店では雲泥の差があると感じたが、それでも、働きに出られるのなら、今はそこでもいい。
「あんなところでナンパする人は早々いないでしょ。コンビニとかはあんまりよくないと思ったけどね……」
吉住はすぐに気付いて、
「やめてくださいよ、先輩」
と、笑う畑山を制した。
「もう一度聞いておいてあげる」
吉住はこちらに向かって言った。
「ほんと!? いつ!?」
期待をする私に
「今度会ったら」
と、まるでその気がないように返答した。
「まあまあ、そんな意地悪しないで。
聞いてあげなよ」
「僕はまだ、浮気の心配を消せたわけじゃないんで」
「うーん、困ったねえ」
畑山は、こちらを見た。
「浮気ってどういうことなの?」
私は吉住に聞いた。
「浮気って言ったら、浮気だよ。真紀さんがその気がなくても、男ってのは強引だからね」
吉住は私の方を見たが、畑山が間に入ってくれる。
「なんかあったら、その病院のお客さんに相談すればいいじゃない。
ね? そのために知り合いのところで働くんだから」
「……それも……そうですけど。けどわざわざ自分の奥さんを売りに出すようなマネしなくても」
「売ってないよ」
畑山は強く言った。
「あのね、信用されず、家の中に閉じ込められてる真紀さんがどんな気持ちでお前の面倒見てやってると思うの」
「別に閉じ込めてなんかいません。幼稚園の送り迎えだって行かせてるし」
「それを閉じ込めてると言うんだよ」
吉住はさすがに黙った。
「まあもう、作っちゃったし、今更どうこうできるもんでもないから、ね。
保育園に預けたりして、真紀さんも息抜きしながらすればいいんじゃないかな」
畑山は吉住の顔色を伺った。
「僕はそれが許せないんですよ。
1人で外出されるのが」
思いもよらなかった言葉に、私は目を見開いた。
「何でダメなのよ。自分なんか、いっつも夜いないじゃん。仕事か、休みなのかも分かんないくらいに。それが逆だとどう思う?」
「……浮気してるのかなって思う、僕ならね」
吉住はこちらをじっと見て言った。
「私は思わないよ、信じてるから」
吉住は意外な顔をした。
「外出ても、私疑ったことないじゃん、浮気してたの、なんて。
それは夜の仕事だからとかじゃなくて、絶対しないって信用してるからよ。
じゃなんで逆に私が浮気すると思うの?
何で私そんなに、信用されてないの?」
吉住はただ黙った。
「何の根拠もないのに疑わないでよ。
私が信用されてないようなことしてるみたいじゃん。
ただ買い物行きたいだけなのに、ちょっとランチしたいだけなのに、そんなことも浮気と勘違いされて。
私が一体、どんな風に裏切ると思ってるの?」
吉住はただ目を伏せた。
「ね? もうちょっと信用してあげなよ。
働くことだって、別に悪いことじゃない。
なんなら、修三自身が働くとこ見つけてあげたらいいじゃない」
「私は別に……そりゃ、ケーキ屋さんみたいな綺麗なところで働きたいっていう気持ちはあるけど」
私は間髪入れずに答えた。
「アテがないことはないです。
僕も、ただ拒否し続けてるわけじゃなくて、少し考えてはいました。
お客さんで、病院関係の人がいて。売店のレジのパートを募集してる話を聞いたんです、最近」
「いいじゃない。病院だから平日だけだし。昼間だけだし」
「ですかね……」
吉住は言っておきながら、納得していないようだった。それと同じように私も、新しいケーキ屋と病院の売店では雲泥の差があると感じたが、それでも、働きに出られるのなら、今はそこでもいい。
「あんなところでナンパする人は早々いないでしょ。コンビニとかはあんまりよくないと思ったけどね……」
吉住はすぐに気付いて、
「やめてくださいよ、先輩」
と、笑う畑山を制した。
「もう一度聞いておいてあげる」
吉住はこちらに向かって言った。
「ほんと!? いつ!?」
期待をする私に
「今度会ったら」
と、まるでその気がないように返答した。
「まあまあ、そんな意地悪しないで。
聞いてあげなよ」
「僕はまだ、浮気の心配を消せたわけじゃないんで」
「うーん、困ったねえ」
畑山は、こちらを見た。
「浮気ってどういうことなの?」
私は吉住に聞いた。
「浮気って言ったら、浮気だよ。真紀さんがその気がなくても、男ってのは強引だからね」
吉住は私の方を見たが、畑山が間に入ってくれる。
「なんかあったら、その病院のお客さんに相談すればいいじゃない。
ね? そのために知り合いのところで働くんだから」
「……それも……そうですけど。けどわざわざ自分の奥さんを売りに出すようなマネしなくても」
「売ってないよ」
畑山は強く言った。
「あのね、信用されず、家の中に閉じ込められてる真紀さんがどんな気持ちでお前の面倒見てやってると思うの」
「別に閉じ込めてなんかいません。幼稚園の送り迎えだって行かせてるし」
「それを閉じ込めてると言うんだよ」