束縛+甘い言葉責め=溜息
吉住の素顔
弟、直
「一時保育って制度があるからそれ使って3人預けて、ランチの時間だけ皿洗いでもしてもらえばいいじゃん」
吉住修三は、実弟であり、部下でもある直(なお)がプライベートの話を職場に持ち込んできたことに、イライラしながらも、仕方なく話を聞いてやっていた。
「兄ぃは何がそんな気に入らないのかねえ……」
「お前が口出すな」
10も下の直に、夫婦や家庭の事情が分かるとは思えず、タバコの煙を思い切り吐きながら、パソコンのディスプレイの中の来月の予算の確認をもう一度行う。
「美人で心配なのは分かるけどさ。皆が皆美人だって思うわけでもないし、誘うわけでもないし。もうちょっと、信頼してあげたら?」
「黙ってろ……気が散る」
目で数字を追ってはいるが、全く頭には入ってこない。それを知ってか知らずか、直は話を聞かず、更に続ける。
「真紀さんが皿洗いしてる間、兄ぃはここで仮眠でもしてたらいいじゃん? そんなに心配なら」
吐き出した煙のせいもあって、目を細めた。直に言われて、その案は悪くないと思った証拠でもある。
「兄ぃは昼間絶対家にいるんだからさ。真紀さんがこっそり外出たら分かるし、心配ならずっとくっついてればいいじゃん。
けどまあ、オーナーが自分の女房に厨房で雑用させて、自分は事務所で仮眠取るって、どうしたんだろうって皆思うと思うけどねー」
最後の余計なひと言は聞かなかったことにして、真紀が喜ぶ顔だけを思い浮かべる。
「お、乗ってきたな♪ じゃあ、子供を朝預けて、10時出社にする? そんで、片付けして、2時、とかかな? 3時くらいの方がいいのかな。最初に来て準備して、最後に掃除して。うん、なかなかいいかも。
昼は柏木だから大丈夫だよ。俺も休みの日も来るようにする」
「お前はいい。家で寝てろ」
「よっく言うよ。俺が休みでも平気で子供預ける癖に……」
夜は直に店を任せるが、昼のランチはサブマネージャーの柏木がメインで出ることが決まっている。
柏木は俺よりも年上の今年35。常識があるヤリ手で、試験的に本店でのランチの導入が決定してからは、ほぼ任せ切っている。もう一店舗出店する際には、必ずマネージャーの座を用意する、と自分の中では固く決めている、直の次に信用のおける男だと言ってもいい。
「柏木なら、確かに大丈夫かもな……」
バイトの男からも真紀を見張ってくれるに違いない。そうと決まれば、話は早い方がいいな……。
「でしょー!! さあっすが俺! 兄ぃを説得できるのはこの世で俺くらいだもんなあ」
「何でお前が嬉しがる?」
吉住は微笑しながらも、即柏木の携帯番号を携帯電話のディスプレイに出し、発信ボタンを押した。
吉住修三は、実弟であり、部下でもある直(なお)がプライベートの話を職場に持ち込んできたことに、イライラしながらも、仕方なく話を聞いてやっていた。
「兄ぃは何がそんな気に入らないのかねえ……」
「お前が口出すな」
10も下の直に、夫婦や家庭の事情が分かるとは思えず、タバコの煙を思い切り吐きながら、パソコンのディスプレイの中の来月の予算の確認をもう一度行う。
「美人で心配なのは分かるけどさ。皆が皆美人だって思うわけでもないし、誘うわけでもないし。もうちょっと、信頼してあげたら?」
「黙ってろ……気が散る」
目で数字を追ってはいるが、全く頭には入ってこない。それを知ってか知らずか、直は話を聞かず、更に続ける。
「真紀さんが皿洗いしてる間、兄ぃはここで仮眠でもしてたらいいじゃん? そんなに心配なら」
吐き出した煙のせいもあって、目を細めた。直に言われて、その案は悪くないと思った証拠でもある。
「兄ぃは昼間絶対家にいるんだからさ。真紀さんがこっそり外出たら分かるし、心配ならずっとくっついてればいいじゃん。
けどまあ、オーナーが自分の女房に厨房で雑用させて、自分は事務所で仮眠取るって、どうしたんだろうって皆思うと思うけどねー」
最後の余計なひと言は聞かなかったことにして、真紀が喜ぶ顔だけを思い浮かべる。
「お、乗ってきたな♪ じゃあ、子供を朝預けて、10時出社にする? そんで、片付けして、2時、とかかな? 3時くらいの方がいいのかな。最初に来て準備して、最後に掃除して。うん、なかなかいいかも。
昼は柏木だから大丈夫だよ。俺も休みの日も来るようにする」
「お前はいい。家で寝てろ」
「よっく言うよ。俺が休みでも平気で子供預ける癖に……」
夜は直に店を任せるが、昼のランチはサブマネージャーの柏木がメインで出ることが決まっている。
柏木は俺よりも年上の今年35。常識があるヤリ手で、試験的に本店でのランチの導入が決定してからは、ほぼ任せ切っている。もう一店舗出店する際には、必ずマネージャーの座を用意する、と自分の中では固く決めている、直の次に信用のおける男だと言ってもいい。
「柏木なら、確かに大丈夫かもな……」
バイトの男からも真紀を見張ってくれるに違いない。そうと決まれば、話は早い方がいいな……。
「でしょー!! さあっすが俺! 兄ぃを説得できるのはこの世で俺くらいだもんなあ」
「何でお前が嬉しがる?」
吉住は微笑しながらも、即柏木の携帯番号を携帯電話のディスプレイに出し、発信ボタンを押した。