【タイトル未定】
カルビという名前の犬を散歩させてるおじさんとすれ違って、商店街の周りに住み着いてる野良猫の側を通る。
あたしはこの、小さな町で17年間生きてきた。
「おはよー!カズ!置いてくよ!」
町にある唯一のアトリエで息子のカズこと飯沼 和人(イイヌマ カズト)に声をかける。
「起きてるよっ」
不機嫌な顔をしたカズがアトリエのドアを開いて出てくる。
「お前さあ、もうちょっとおとなしくなれんもんかね」
呆れたような顔で言ってくるカズに向かっていつの間に居たのか、もう一人、幼なじみのアカネこと西内 朱音(ニシウチ アカネ)が笑いながら言う。
「ムリムリ。天真爛漫。明るくて元気。いつも笑顔がユイの代名詞だから」
小さな町で、生まれた時から一緒のあたし達は並んで学校を目指す。