【タイトル未定】


「しっつれーしまーす」

景気良く職員室のドアを開けると、室内にはこれまたいつもの顔の先生達が居る。


少し周りを見渡すと、担任の丸谷先生の机の前に人が立っていた。

規定の学ランとは似ても似つかないブレザーを着て、窓から入る朝日に透けて、茶色に見える少し整えられたその髪はきっと触るとさらさらで、なんだかちょっと都会的な雰囲気を持った後ろ姿を思わずまじまじと見つめる。


「ああ……!」

椅子から立ち上がった丸谷先生が、にこやかにこっちに向いた。


「おはよう。今日からクラスの一員になる池内だよ。よろしくたのむな」

先生から紹介を受けたその人が振り返る。


「はじめましてー!こんな時期に転校だなんて緊張するでしょう?でも、大丈夫。小さい町だし、すぐに馴染めるよ」

持ち前の笑顔と明るさでそう言った。


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