【タイトル未定】
振り向いて目が合ったまま、その人は何も言わなかった。
「池内くん?よろしくねぇ」
日誌を受け取りながらあいさつをする。
相変わらず、一言も発しない転校生は服装のせいかなんなのか、やっぱりとても都会的で、小さな町で育ったあたしにはとても眩しくて、どこか洗礼された雰囲気を身に纏っていた。
緊張しているのかはたまたなんなのか。
結局、転校生と会話することなく、あたしは教室に戻った。
「みんなー!今日から転校生来るんだってー!仲良くできたらいいねぇ」
にっひー、と笑顔を浮かべてクラスのみんなに報告する。
男?女?この時期に?などと、クラス全体が沸き上がっているまま、朝のホームルームの時間になった。