【タイトル未定】


放課後のチャイムが鳴って、クラス内がざわざわし始めたころ、あたしは思い切って池内くんに声をかける。

結局、今日一日、彼とは何も話ができなかったからだ。


「あたしね、いつも家が近所の幼なじみ二人と一緒に学校通ってるんだけど二人とも部活やってるから帰りは一人なんだよね」

その言葉に反応して、前の席に座っていた池内くんがこっちを向いた。


「あんたさあ、いちいちうるさい」

池内くんは初めて口を開いたかと思えば、あたしにそんな言葉を投げ掛けた。


「な……なにそれ……」

転校生だから緊張してるのかなって思って、何度無視されても一生懸命話しかけて、挙げ句の果てがこれ?


< 9 / 15 >

この作品をシェア

pagetop