キミといた。




すごく久しぶりの土地に足をつけたせいなのか、前に来たときとは何かが違うような感覚を持った。



ザワザワと声が聞こえる。


風の影響で騒めく木々の音も聞こえる。



目だけを動かして見れば、そこには前までと変わらない山々に囲まれた世界があった。


ゴクリと、こみ上げてきた恐怖と一緒に唾を飲み込む。




ザワザワと葉の揺れる音がやけにあたしの中の恐怖を倍増させる。




「………っ」




あたしは家へと向けて足を踏み出す。


早足に変更しようとしたときだった。



ふと背後から声をかけられた。




「千晴…ちゃん?」


< 16 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop