キミといた。



きっと起きていることなんて丸分かりだろう。



母はいつまでも動こうとしないあたしを見て大きく溜息をつくと、ドシドシと荒い足取りで寄ってきた。



そして一切言葉を発さずに布団を畳みだしたのだ。



まず手をつけているのは父の布団。


確実に次はあたしの布団がやられるだろう。



諦めたあたしはタオルケットから目だけを出して睨んだ。



「…まだ6時半じゃん」



「今日は告別式なのよ。 ダラダラしない!」



そう言うと母は強引にあたしの布団を引っ張りあげた。



なんて信じられない腕力なんだろうか。


寝ていたはずのあたしは見事にゴロンと畳の上に転がり落ちた。


< 30 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop