キミといた。
意地悪なその言葉にあたしは泣きそうになる。
『無理だよー! 早いよぉーっ!』
泣きべそをかきながら懸命に声を振り絞って叫んでみるけれど、それは更に疲労を増やすばかりだった。
『はぁ…っ、はぁ、』
走っているだけでなく叫んでいるせいで、あたしの呼吸はより一層荒くなる。
いつもは嫌がる、蜘蛛の巣が顔にかかったってお構いなし。
木の根で足が縺れそうになっても踏ん張って走り続ける。
だがあたしのそんな努力などお構いなしに、彼の足は止まることなく進んでいってしまう。