キミといた。
(そんなに猛ダッシュで来なくたってあたしは逃げないのになぁ…)
そう思うけれど、少年には伝わらないだろう。
なぜだか分からないけれど、少年は急いでいたというよりは慌てていたように見えたのだ。
いつまでたっても顔を上げない少年に、あたしは再び声をかけた。
「あの…大丈夫ですか…?」
遠慮がちに声をかける。
そして顔を覗き込もうとしたところで、狙っていたかのように少年が顔を上げた。
「俺のこと知りませんかっ?!」
突如そう尋ねてきた。
当然ながらあたしの目は点になる。