キミといた。
あたしは足を止めると、康介の背中目掛けて叫び声を上げた。
「無理っ!」
その声に康介は肩越しではなく、足を止めて振り返った。
「はぁ?」
「あたしそんなことできないっ!」
「やったことないのか?」
「そう言う問題じゃなくて!」
「どういう問題だよ?」
「虫嫌いなの!」
「はぁ? 情けないな」
何を言われたって構わない。
どうにかここで阻止しなければ、待っているのは虫とのご対面だろう。