真っ白な死神
そして、卓也に話を聞いて、バイトを早引きして、家に帰った。
家に帰って、俺は手紙をあけた。
中には、一枚の写真と便箋二枚が、入っていた。
(秋人へ
ごめんね。何も言わないで別れをきりだして。でも、私の体は、もうだめなの。 秋人は、絶対私が病気だと言えば、心配してピアノに集中出来なくなる。そんな女になりたくない。好きな人の障害でいたくないの。だから、別れれば大丈夫じゃないかって、思ったの。
だから、笑顔で別れたよ。ほんとは、辛くて辛くて毎日泣いたんだ。
でも、ピアノを聞けば、秋人がいるって思えた。
だから、絶対ジャズピアニストになって。
その時、私はいないかも知れないけど、秋人ならなれるって信じてる。
ごめん。ごめんね。
ワガママでごめん。
病気になってごめん。
嘘をついてごめん。
嫌な女でごめん。
秋人、私は信じてる。天国まで、ピアノを聞かせてね。)