真っ白な死神
また、はっ!勢いよく起き上がった。やっぱり真冬は、俺がピアノを捨てたのを悲しんでいるのか?
俺は、ほこりの被ったピアノの前に立ち、ほこりをはらった。一年も弾いてない俺のピアノ。
そして、真冬の形見。
これは、真冬が俺にくれた物だった。
このピアノで何回も真冬の好きな月光を弾いた。
懐かしさと愛しさしかない。
ブワッといきなり風が入って来た。窓が開いていた。そして、声がした。
「秋人、夢は諦めたら終わりだから、いまからでも遅くないよ。秋人が、ピアノを聞かせてくれたら、私が逢いに・・・いく・・・」
声が、消えて風がいきなり吹き込んで、窓が、勝手に閉まった。