真っ白な死神
「おい、久しぶりだな。」バイトをしていて、後ろから声をかけられたのは、真冬に出会った時、以来だった。
振り返ると、高校の友達。卓也が、いた。
「お前、何しての?秋人。ピアノまだ、続けてるんだろ?」
「いや、もうやめたよ。」
「なんで?ちっちゃい時からやってて、絶対ピアニストになるって言ってたやつが。」
「もう、やめたんだよ。」
卓也は、俺が大学に行った後のことも知っている友達だった。
知らなかったことは、
夢を捨てた事。
真冬と別れた事だった。
「そうか。お前が、決めたなら何も言わないよ。」 「なんで、何にも言わないんだよ。理由聞けよ。」 「あっ、わっわり。ごめん。」
「いや、俺の方が、悪かった。すまん。」
「まあ、いいけどよ。」
卓也の言葉に過剰に反応したのは、別れた時の自分の言葉だった。
真冬も今の俺のような気持ちになったんだと思った。だから、余計に自分が、許せなくて・・・・