彼氏くんと彼女さんの事情



なにやら2~3人の女子たちがひとつのロッカーの前に密集して、耳障りな声で笑いあいながら、隠れてこそこそ何かをしている様が視界の端に映りこんだ。





なんとなく気になってそちらに目を向けると、彼女たちの囲んでいるのはさゆりのロッカーらしかった。




なぜかというと、彼女たちの一人が手に持っている教科書やノートの中に、見慣れたピンクのファイルが混ざっていたから。





立ち止まって目を凝らしてみると、ノートに書かれた名前は確かに“中原さゆり”だった。




嫌な予感を胸に抱きつつ、静かに彼女たちに近づく。

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