彼氏くんと彼女さんの事情
それにしても、今日の高貴もすごくかっこいいな。
透き通るような綺麗な肌に、端正な顔立ち。
特に肌は羨ましい。彼女の私が負けるわけにはいかないので、私も毎日お肌のケアを頑張っている。
綺麗な横顔を拝んでいると、思わず笑みがこぼれた。
すると、私の視線に気付いた高貴に「成功した福笑いみたいで気持ち悪い」と冷たく言い放たれた。
「せ、成功した福笑いって……っ」
仮にも彼女であるこの私のことをそんな風に言われ、本気で傷付いていると、横から「嘘だよ」という声が降ってきた。
く、口が悪いんだからっ!
* * * *
「おはよう優愛」
「さよりおはよっ!」
教室へ入ると真っ先に親友のさゆりが私の席に来た。
「どうしたの~?そんな頬緩ませて」
「えっそう?」
「まぁいつも緩んでるけどね。また、高貴くんの事でしょ」
そう言われ私は照れた。
「へへっ…いやぁ今日もラブラブなのですっ」
「このリア充め、羨ましいぞ~」
さゆりが私の脇腹をくすぐってきたので、笑いながらやり返す。
「さゆりはどうなのー?春川くん」
しかしその名を出すと、さゆりの目は輝き表情は一変した。
「かっこいいよね~春川くん!」
春川くんとは、さゆりの片想いの相手だ。
あまり人と話している所を見たことがなく、クールでミステリアスな雰囲気を醸し出している男子である。