彼氏くんと彼女さんの事情
鈍感彼氏と寂しがり彼女
さゆりside
「あっあの……」
緊張の余り舌が上手く回らなく、どもる。
「入学した頃から、春川くんのことが好きでした!
つつ付き合ってくださいっ……」
…や、やってしまった…。
一番大事なところで噛んでしまった。
終わった…、と諦めかけた瞬間、彼から思いもよらない言葉が発せられた。
「いいよ」
「………。て、えぇ!?」
一瞬言葉の意味を理解できず、すっとんきょうな声を出してしまった。
「えっ……い、良いの?」
私は驚きを隠せない表情でもう一度確認する。
だって、こんなにかっこよくてモテる彼が、私なんか相手にしてくれる筈――…
「いいよ」
事も無げに諒承する彼。
ようやくその言葉が本物だと理解した私は、天にも昇る心地で彼に言った。
「嬉しい!!
あ、ありがとうっ…」
4月からずっと一途に思ってきた甲斐があった。
私は今日から、春川くんの彼女になるんだーー…
「で、君は何組の誰さん?」
「…………え?」
同じクラスの春川くんは
それはそれは全く周りに関心のない鈍感な男の子だったのです。