彼氏くんと彼女さんの事情
「おめでとう、さゆり!春川くんと、付き合えたんだね!」
朝。学校でカバンの中の教科書類を机の中に移し変えていると、予鈴5分前に教室に着いた優愛が嬉しそうな表情で私の下へ来た。
しかし、私は微妙な心境でそれに返事をする。
「ありがと。……でも、……はぁ。」
「……元気出しなよ、さゆり!」
落ち込んでいる私を優愛が励まそうとする。
「オッケーしてくれたんだから、好意があるってことだよ」
「うーん…」
でも……。
存在も認知されてなかったんだよ!?
「もう半年同じクラスなのにっ!!」
それほどまでに私は春川くんにとって興味の無い、どうでも良い存在だったのだろうか。
私は、同じクラスになった時からずっと、春川くんの事を見ていたのに?
「……オッケーされたけど、ふられた気分……」