そのままの君で
「失礼なやつだな」
「は?」
しばらく見とれてしまって、言葉を発することのできなかった俺に向けられた一言に我に返った。
「なんやって?」
「失礼なやつに失礼なやつだと言っただけだ。どけ」
「なっ……!」
一睨みされ俺は言い返そうとした口をつぐみ、後ずさった。
(前言撤回!かわいくない!)
そもそも男相手にかわいいってなんだと内心ツッコム。
その場を立ち去る背中を見送りながら、俺の口許はなぜか緩んでいた。
遅刻しそうになり、慌てて駆け込んだ教室で彼を見つけ、同級生だと知った。

「なぁ、あいつ知ってる?」
昼の休憩時間。一緒に弁当を食べていた中学からの友達の笹原に聞いてみた。
「ん?なんだよ孝樹。知らねーの?あいつ、柔道の中学日本一の三崎だよ」
「柔道?」
そういえばこいつも柔道をやってたっけと考えながら、三崎と呼ばれた彼を見た。今朝見た感じでは華奢で、一見柔道をやっているようには見えない。
しかも日本一だという。
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