ピアス
 柚菜が街に野菜や、薬の材料を仕入れに行く、と言って家を開けた。


 クリフは浜辺を歩いた。今は平穏無事だが海軍の大砲演習だろう、砲撃の音が海に響き渡っていた。心地よい風が髪をかき上げ、肌をかすめた。息を吸い、そして吐いた。

 生きている、という実感を彼は感じた。


 新聞と云われるもので米国と開戦か!?という見出しをクリフは見た。
 

 なぜ、人は争わなければならないのだろう、とクリフは思う。
 
 主義、主張、が異なるから?
 
 肌の色が異なるから?
 
 言語が異なるから?
 
 信じてるものが違うから?

 同胞を目の前で異国の者殺害されたから?

 戦争を起こすということはそれ以前に何かきっかけが欲しいんだ、実はなんでもよかったりする。
 

 異国の者が我が国の領土に侵入し、問題を起こした。その問題が些細な事であっても、戦争の鐘は鳴り響く。


 なぜ、そんなことを考え、思わなければいけない、クリフはふと思った。
 柚菜に恩義があるからか、それもあるだろう。

 
< 18 / 207 >

この作品をシェア

pagetop