ピアス
古びた茶箪笥が目に入り、天井にはランプが灯されていた。強い光というよりは淡い光、命が消え失せるような微々たる光だった。
毎日掃除をしているのか畳には一切の汚れ、塵、ゴミは落ちていなかった。いや、クリフの銀髪が少量抜け落ちていた。それを手に掴み、右手に開け放たれている窓へ髪の毛を手のひらにのせ、ふうーと息を吹きかえ飛ばした。
ふわぁーと髪の毛は上昇し、外へ向かって飛んでいった。
窓からの景色は絶景だった。というしか表現し難い。
というのも砂浜に広大な海が広がり、太陽が煌々と照らしていた。カモメが二羽、弧を描きながら海の上を旋回していた。雄と雌なのかもしれない。最後は仲良く並列して海の彼方へ飛んで行った。