あの日、守りぬくと誓った
背中に
なにかが触れた。
「…お兄ちゃん…」
兄の手…
「…は…」
兄がなにか言った。
自分から話すのは
初めてな気がする。
「…え?」
「あの人は、
捨てた訳じゃ…ない、
と思う…」
「…どう、して?」
「大事そうに便箋を取り出して
『これは理奈が8歳の時
私にプレゼントしてくれたのよ
あなたは覚えてるかしら?』
って言って…」
「…え
お兄ちゃん…?
何のはな…」
「何回も何回も書き直して
やっと書いた手紙を
また大事そうに封筒に入れた。」
お兄ちゃん…
私は兄がなんの話をしているのか
よくやくわかった。