『スケッチブックにサヨナラ』〜短編〜
この頃から、戸上は家を空けがちになっていった。土曜日の夕方に出て行くと、帰って来るのは 決まって翌朝5時頃だった。寝たフリをしたまま壁際を向いた私を横目に、戸上はそのままベッドに潜り込んだ。お互いに背を向けあう そんな関係に、私は涙が止まらなかった。『大介は浮気をしている』そう思ったとしても、私には何も言う事は出来ない。原因は私自身なのだから…。
それから1ヶ月間、ただひたすら 土曜の夜を一人で明かし続けた。そして…。何度も何度も考えて だした答えを胸に、いつも通り戸上の元へと向かった。いつもの様に 戸上は家を空ける。私も いつも通り、掃除に洗濯、食事の用意を終え…そして 自分の荷物を纏める。付き合って半年も経っていないのに、捨てる物が意外と多い。こんなにも短い期間の中で あんなに沢山の思い出に囲まれていた事に気付きもしないなんて…。ふいに棚に立て掛けられたスケッチブックを手に取り 大介の描いた作品のページを捲った。一冊目は 有名な画家の模写と自画像だった。二冊目は 風景画とアトリエで描いている作品。そして三冊目…
佐倉:『…えっ…これ…私?』
それから1ヶ月間、ただひたすら 土曜の夜を一人で明かし続けた。そして…。何度も何度も考えて だした答えを胸に、いつも通り戸上の元へと向かった。いつもの様に 戸上は家を空ける。私も いつも通り、掃除に洗濯、食事の用意を終え…そして 自分の荷物を纏める。付き合って半年も経っていないのに、捨てる物が意外と多い。こんなにも短い期間の中で あんなに沢山の思い出に囲まれていた事に気付きもしないなんて…。ふいに棚に立て掛けられたスケッチブックを手に取り 大介の描いた作品のページを捲った。一冊目は 有名な画家の模写と自画像だった。二冊目は 風景画とアトリエで描いている作品。そして三冊目…
佐倉:『…えっ…これ…私?』