『スケッチブックにサヨナラ』〜短編〜
そんな中、最初に口を開いたのは 戸上だった。
戸上:『俺さ…正直、お前が離れてくなんて 考えてなかったんだ。いつだって 受け入れてくれるって 誤解してたよ』
佐倉:『…うん』
涙声での返事に、少しずつ戸上の声も震えていった。電話越しに泣いているのが伝わる。
戸上:『もう一度…帰って来ないか?』
佐倉:『…。』
戸上:『お前には もう嫌な思いも辛い思いもさせない。だから…帰って来い』
佐倉:『…ごめん』
掠れた声は 私の全てを告げる。大介を想う気持ちに変わりはなかった。しかし、これ以上 また同じ事を繰り返すのは嫌だった。 涙でぐちゃぐちゃになりながら、私は電話を切った。まさか あの大介が泣くなんて…。何よりもショックでならなかった。
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