『スケッチブックにサヨナラ』〜短編〜
それなのに、不安や悩みの無い今が なんだか幸せに思えた。しばらくすると雨は止んで 空から雲は消えていた。
佐倉:『…ねぇ…私達って、いつも雨が降ってたね。初めて電話した時も、初めて会いに行った時も…別れまで(笑)』
戸上:『そうだな(笑)』
佐倉:『大ちゃんが黒いレインコートで走って来たの…今思っても 笑えるんだよね(笑)』
戸上:『何でだよ』
佐倉:『だって、普通 傘でしょ!?(笑)あれはビックリだったなぁ…(笑)』
戸上:『俺は 濡れるのがイヤなの!』
今までが嘘の様に 二人は笑い合った。ずっと 望んでいた関係が 終わってから築けたなんて…。段々と空が明るくなるにつれ 二人時間の終わりも ゆっくりと近付いていた。
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