『スケッチブックにサヨナラ』〜短編〜
いよいよ 約束の日が訪れた。前日は緊張して なかなか眠れなかった。
やっとの思いで慣れない電車を乗り継ぎ、緊張をしたまま やっとの思いで辿り着いた。改札を出て、隅っこに ひっそりと立って 戸上を待った。
外は生憎の雨が降っている。着いた事を電話で知らせてから数分後…。真っ黒のレインコートに身を包んだ男が ものすごいスピードで改札へ駆け込んで来ると、慌てた様子で誰かを探し始めた。私は一目で それが戸上だと分かったが 戸上は私に気付きもせず、携帯電話を取り出すと、何処かへ掛け始めた。案の定、すぐ目の前で私の携帯が鳴った。
戸上:『今何処にいる?俺は改札の前まで来たんだけど…』
佐倉:『やっぱり。今 目の前を黒いレインコートを着た怪しい男が彷徨ってて…(笑)』
戸上:『え?』
キョロキョロと見渡した視線が改札の脇で止まった。電話越しに
戸上:『…お前…塔子か…?』
と呟いた。頷く私に駆け寄ると
戸上:『塔子…やっと逢えた…!』
戸上はそう言って私を抱きしめた。電話でのやり取りがあるとは言え、初対面での抱擁に
佐倉:『ち、ちょっと?!』
慌てて手を振り解いた。
やっとの思いで慣れない電車を乗り継ぎ、緊張をしたまま やっとの思いで辿り着いた。改札を出て、隅っこに ひっそりと立って 戸上を待った。
外は生憎の雨が降っている。着いた事を電話で知らせてから数分後…。真っ黒のレインコートに身を包んだ男が ものすごいスピードで改札へ駆け込んで来ると、慌てた様子で誰かを探し始めた。私は一目で それが戸上だと分かったが 戸上は私に気付きもせず、携帯電話を取り出すと、何処かへ掛け始めた。案の定、すぐ目の前で私の携帯が鳴った。
戸上:『今何処にいる?俺は改札の前まで来たんだけど…』
佐倉:『やっぱり。今 目の前を黒いレインコートを着た怪しい男が彷徨ってて…(笑)』
戸上:『え?』
キョロキョロと見渡した視線が改札の脇で止まった。電話越しに
戸上:『…お前…塔子か…?』
と呟いた。頷く私に駆け寄ると
戸上:『塔子…やっと逢えた…!』
戸上はそう言って私を抱きしめた。電話でのやり取りがあるとは言え、初対面での抱擁に
佐倉:『ち、ちょっと?!』
慌てて手を振り解いた。