『スケッチブックにサヨナラ』〜短編〜
戸上:『その辺にでも 適当に座って』
ベッドを背もたれにして座った。
戸上:『お前、珈琲飲めるか?』
佐倉:『うん』
戸上:『疲れたか?』
佐倉:『全然平気だよ』
二人は珈琲を飲みながら、互いについて話をした。料理は得意だと話すと、夕食は私が作る事になった。一品一品 出来上がる度、目を輝かせて喜ぶ姿は まるで子供の様だった。
時計の針が夜9時を回った頃、帰ろうとした私の腕を掴み
戸上:『今日は泊まって行けよ』
と言った。
佐倉:『ごめん…』
戸上:『何でだよ…せっかく逢えたのに…。』
下を向いたままだった戸上が視線を上げ、私を見詰める。
佐倉:『もう門限には間に合わないけど、うち外泊禁止だし…それに…』
戸上:『何?』
佐倉:『…大ちゃんは 私がそんなに簡単に、男の所に外泊するような奴でも 何とも思わないの?』
戸上:『今日は俺の頼みだ。塔子が そんなに軽い奴じゃない事は分かってるよ。だから、頼む。俺に時間をくれ』
戸上の視線は 何処までも真っ直ぐだった。その夜、私は戸上の所に泊ってしまった。親への罪悪感と、男の人の家に初めて泊まる緊張感を抱いていた。
ベッドを背もたれにして座った。
戸上:『お前、珈琲飲めるか?』
佐倉:『うん』
戸上:『疲れたか?』
佐倉:『全然平気だよ』
二人は珈琲を飲みながら、互いについて話をした。料理は得意だと話すと、夕食は私が作る事になった。一品一品 出来上がる度、目を輝かせて喜ぶ姿は まるで子供の様だった。
時計の針が夜9時を回った頃、帰ろうとした私の腕を掴み
戸上:『今日は泊まって行けよ』
と言った。
佐倉:『ごめん…』
戸上:『何でだよ…せっかく逢えたのに…。』
下を向いたままだった戸上が視線を上げ、私を見詰める。
佐倉:『もう門限には間に合わないけど、うち外泊禁止だし…それに…』
戸上:『何?』
佐倉:『…大ちゃんは 私がそんなに簡単に、男の所に外泊するような奴でも 何とも思わないの?』
戸上:『今日は俺の頼みだ。塔子が そんなに軽い奴じゃない事は分かってるよ。だから、頼む。俺に時間をくれ』
戸上の視線は 何処までも真っ直ぐだった。その夜、私は戸上の所に泊ってしまった。親への罪悪感と、男の人の家に初めて泊まる緊張感を抱いていた。