彼を拾いました。




男の子はじーっと
こっちを見つめている。


男の子っていっても
高校生くらいだろうか。

澄んだ目に綺麗な鼻すじ。
ああ、これが美少年というんだな。


茶色の少し伸びた髪は
雨でぐちゃぐちゃに、乱れていた。




しかし何なんだこれは。
どんな展開?



猫とかが捨てられてるのなら
わかるよ?
でも何で人?
しかも何でこの人捨てられてる訳?


え、なんかの罰ゲーム?
ネタでしかないんだけど。



頭の中でいろんな疑問が
浮かんだが、
全て振り払った。



よし、見なかったことにしよう。



私はそうして
また家の方向へ歩き出した。

が...



「おい!」



「ひいっ!!」


男の子が突然私の腕を掴んだ。



「拾ってくれないの?」



「ひ、拾ってって...」


いやいや意味わかんないでしょ!



「え、君なに?
遊びならやめた方がいいよ?」




「遊びじゃねーし!
お願いお姉さん、俺を拾って!」



これが
翔太との出会いだった。




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